私は DRM は反対だ
「DRMあれば録音録画補償金は不要では」――JEITAが立場を説明を読んで感じました。私は DRM を入れるくらいなら、補償金の方がましだと考えています。
「DRMでコンテンツを管理できる時代に、私的録音録画補償金は本当に必要なのか」――エレクトロニクスメーカーの業界団体・電子情報技術産業協会(JEITA)が、私的録音録画補償金制度の必要性について、改めて抜本的な議論をすべきと呼びかけている。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/30/news125.html
私が保護技術に強い懸念を覚える理由は、JEITA の立場を考えれば、DRM を「悪用」する可能性があるからです。技術革新によって新しい媒体が出てきたとしましょう。レコードがすたれて CD が出てくるような状況です。あるいは、iPod やインターネットの出現です。保護技術は、コンテンツを媒体を移して利用することを制限します。
いや、将来的にどのような制限をかけることができるのか、想像もつきません。こんな技術に投資するくらいなら、補償金でもなんでも払った方がマシというものです。
同じようなエントリは過去にも書いています。
これから技術の進歩によって、保護技術によってユーザーの利用状況に応じた課金ができるとします。対応機器が出回らないといけないとか問題があるので、近い将来というわけにはいかないでしょうが。利用状況とは、たとえばコピーの回数とか視聴回数とかです。視聴回数で課金されたら、音楽を聴きたくなくなるでしょう。コピー回数で課金されたら、収益のために「プレイスシフト」や「タイムシフト」に踏み込むケースが出てくるかもしれません。
http://d.hatena.ne.jp/akasata/20071018/1192692440
インターネットの普及で、機器メーカもコンテンツ業界も難しい局面を迎えるはずです。こうした技術的な武装をすることで、一般ユーザが不利益を被る可能性はあると私は思います。
最終ゴールは保護技術と補償金の両方を無くすでいいと私は思います。私はインターネットがもっとインフラとして強力になれば、コピーという行為が必要なくなると考えています。では、最終ゴールに近づくためにはどうしましょう。
いきなり、保護技術と補償金の両方がいらないというと、おそらく権利者側は態度を硬化させ、妥協点は見つけられなくなるでしょう。補償金をなくせと言えば、保護技術を強化するでしょう。保護技術を強化されたら、どんな制約が生まれるかわかりません。補償金を続けて保護技術の進捗滞らせましょう。そのうち、ネットを使えば、媒体を必要とするケースは超高品質を求める場合だけになるでしょう。10 年後くらいでしょうか。そのときには、補償金を払うケースそのものが少なくなっているはずです。
権利者もインターネットに合わせたビジネスモデルでそれなりに儲かって、文句を言わなくなっていると思います。保護技術のような支配的な技術を適用してはいけないのです。