平凡なエンジニアの独り言 はてなブログ出張所

ピアノをこよなく愛するエセRubyistが適当に書き綴ります

良いコンテンツは既にネット上にある、ただそれを見つける方法がわからないだけ

JASRAC のシンポジウム関連の記事を読んだので感じたことを書きます。

ネットを新しいコンテンツ流通プラットフォームとして育てていく上で、よく指摘されるのテレビ番組をはじめとした既存のコンテンツがなかなかネット配信されない問題だ。

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20370105-2,00.htm

この問題、私は解決すると考えています。そもそも、ネット上に「正式な」コンテンツが流れていないという指摘自体古いのです。確かに今ニコニコ動画のようなコンテンツ共有サイトにあがっているコンテンツの大半は著作権侵害コンテンツです。でも、ユーザー生成コンテンツが増えていることも事実です。

世界的に見れば、たとえばクリエイティブコモンズライセンスを適用した作品は既に億単位で存在します。そして、中には良質なものがいくらかは含まれていると推測します。良質なものが 0.01% としても、万単位であることになります。ただ、面白いものを見つける方法は確立されていないため、我々が目にすることは非常に少ないという問題があります。

ニコニコ動画の成功要因の一つとして、「面白いものが簡単に見つかる」ということは外せません。ニコニコ動画のシステムそのものであったり、ユーザーのブログやまとめサイトだったりしますが、面白いものは実に簡単に見つかります。

テレビをつけても本屋とかCD屋とかに行っても面白いものはそうは見つからないのに。

どのサービスが担うのかはわかりませんが、ネット上の面白いものを見つけ出すサービスはこれからも進歩するでしょう。そして、今後も権利的にクリアなユーザー生成コンテンツも増えていきます。面白いものを見つけ出す機能が強化されればされるほど、埋もれていた良質のコンテンツが発掘されるようになり、既存のパッケージ市場は圧迫され続けることになります。

今でも、オリジナルデータを使わなければ非営利に限って二次創作を認めている作品は多く、ニコニコ動画でも「描いてみた + BGM はアレンジ」であれば、権利的には問題のない(正確には問題なんだけどスルーできる)コンテンツとなる可能性が高いです。以下、そうしたガイドラインを適用している作品の一例を挙げておきます。ニコニコ動画にあがっているコンテンツは、「後一歩でクリアな作品になるものが多い」わけです。

いずれも結構儲かっているシリーズ・作者ですが・・・同人発の作者はこうしたスタンスを維持する場合が多いとは言います。

ユーザー生成コンテンツに関しては、「後一歩」が踏み出せるかどうかですが、さまざまな問題をはらみつつもユーザー間の「コラボレーション」が進みつつある現状を見れば、どんどん状況は改善していくのでしょうね。

もちろん、アマチュアの盛り上がりだけではコンテンツは面白くならないので、プロの盛り上がりも欲しいところですが、アマチュアとうまく絡めているプロはかなり儲かっているみたいですね。コンテンツ業は本質はサービス業であることを考えれば、ユーザーとうまくやることが成功の前提になることは当たり前なのですが。

とはいえ、著作権侵害コンテンツは問題です。私としては、コピトレの開発・運営を通じて、「ネット上に権利的に自由な作品を増やす」ことを行いたいと考えています。これは、「あれこれ考えずに良いと思ったものを使って創作できたら楽しいだろうな」という考えからです。ソフトウェアの世界ではこれはかなり実現されていて、本当に楽しいのです。コピトレもその恩恵で作られています。

今の著作権侵害コンテンツは「その後の発展ができない」という意味で非常にもったいないと思います。クリアなコンテンツが増えていくことがネット上のコンテンツを盛り上げる一番大切なことだと考えています。

その他、「お金集めに成功したら n 次創作自由にしていいよライセンス」とか「n 次創作の収益を一次創作に還元することで自由にしたらかえって儲かるシステム」とか妄想レベルで実現してみたいこともありますけど、それはまだまだ先でしょうね。

以下、関連ですばらしい記事があったので紹介しておきます。

栗原潔のテクノロジー時評Ver2 > 「著作権法を変えればそのまま流通が増えるのかというと、そんなことはない」は正論である : ITmedia オルタナティブ・ブログ

日本の現行の著作権制度の元でも同じような顧客第一主義の公正な競争が実現できることが実証されれば、著作権制度を抜本的に改革せよとの声も小さくなると思います

http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2008/03/post-1953.html

まさにその通り。既に日本でもそれで成功している会社も結構あるのではないかと思います。