コピトレにおける情報の削除基準について
コピトレ公開から 10 日程経ちました。ぼちぼち見てくださる方も増えてきたようで、問い合わせもちらほらと来るようになりました。
そうした問い合わせの中で、作者情報削除の問い合わせがありました。ついにコピトレも情報の削除要望が来るようになったかと少し喜んでもいたのですが、削除要望そのものは悩ましい内容だったので簡単な経緯を紹介しておきます。もしよい知恵などありましたらご教授ください。
削除要望経緯
昨日(2/21)の夜、登録ユーザーでない方からの作者情報の削除要望が来ました。理由としては以下のとおりです。(名前は伏せています。)
- 「××」は創作コラボレーション(おそらくサークルと同等かそれ以上にゆるいつながり)であり、集団として登録されると困る
- 権利の帰属やライセンスも議論中である
削除要望はそのコラボレーションで中心的に活躍されている(と思われる)方からでした。「××」名義で公開している作品は多数あり、情報を登録された方はおそらく、それを見て作者登録すべきと判断したのだと思われます。
さて、コピトレにはまだ削除基準がなく、そもそも削除すべき事案かどうか判断を迷ったため、以下の対処をすることで情報を残せないかという旨を伝えました。
- コラボレーション団体であることを明記
- 権利者として実体を持たない団体であることを明記
- 関係者から削除申請が出されたことを明記
残念ながら、同意には至らず情報は削除して欲しいとのことでしたので、情報の削除に応じることとなりました。
削除要望の対応の難しさ
さて、削除要望に対する対応は悩ましい問題を多数含んでいます。一つ一つ解決しなくてはならないのですが、以下の観点から一つ一つ見ていくこととしましょう。
- 厳密には人格を有さないサークルなどをどのように扱うべきか
- 勝手に登録されたことに対する戸惑い
- そもそも削除要望に応じるべきか
- そのほかの問題
- これからどうするか
厳密には人格を有さないサークルなどをどのように扱うべきか
今回のケースは、サークルと同等かより緩いつながり(ただし、統一したライセンスを適用しようとしているので、その意味では強いつながりを目指していると言えなくもない)ですが、本質的には変わらないと考えられます。
こうしたサークルで著作物を作成した場合、共同著作物あるいは個別の著作物の寄せ集めということになり、権利は制作にかかわったそれぞれの人に帰属します。コピトレを厳密に著作権の管理システムとしてとらえるのなら、サークルの情報登録は多くの場合微妙ということになります。人格を持ったサークルはあまりないでしょうから。
ただ、悩ましいのはそのコラボレーションでは、コラボレーション名の明記により創作物の二次利用を「表示スペースがない場合など条件付き」ですが許諾する仕組みになっています。おそらくこのような団体は今後も増えていくでしょう。また、情報の検索性を考えればサークル情報を登録しないわけにもいきません。
こうした点を考えれば、サークル情報はコピトレとしては情報登録すべき情報のようです。
勝手に登録されたことに対する戸惑い
コピトレは情報データベースですから、個別の作者の意向に関わらず情報が登録される可能性があります。その意味でコピトレは Wikipedia と同種のものといえるでしょう。ただし、著作権問題に対応すると掲げている以上、登録される側にはある種の緊張を強いるものであるかもしれません。
また、コピトレによって作者にとって意図しない言及リンクを貼られるという意味では、無断リンク問題と相通ずる問題と言えるでしょう。私自身無断リンク問題をどのように取り扱ってよいのか定見はない(リンクを貼られたくないサイトにはアクセス制限すべきという意見は持っていますが)のですが、Wikipedia などでは関係者の意向にそぐわない記述は編集合戦になることもあるわけですから、やはり慎重に取り扱うべき問題のようです。
そもそも削除要望に応じるべきか
法的に問題のある情報については削除要望に応じるべきでしょう。プライバシーの侵害だとか、著作権侵害だとかそういった問題も当然です。間違った情報、誤解を与える情報の「訂正」にも応じるべきです。
悩ましいのはそれ以外のケースはどうすべきか、です。今のところありませんが、極論すると今後は「勝手に登録されると不愉快」という理由で削除申請があるかもしれません。コピトレは情報データベースですから、データベースの質・量を維持するという意味では明確な理由のない削除には応じたくないという思いはあります。(無駄な情報・ノイズは削除推奨ですが。)
そのほかの問題
作者情報の削除申請をする人が、作者当人や近しい人であるとは限りません。また、削除要望については運営で判断する以前に、編集者やモデレータ(まだいませんが)のレベルで削除を議論する Wikipedia のような仕組みがないと、細かいところに目が行き届かなくなることは明白です。
また、基本的に削除要望については、削除要望者との対話コストとのトレードオフで決定されることになるでしょうが、コピトレに削除ポリシーがないことから一貫した対応を取ることができないことも問題でしょう。