平凡なエンジニアの独り言 はてなブログ出張所

ピアノをこよなく愛するエセRubyistが適当に書き綴ります

短期的な視点に立てば、中古本の流通から作者に対する利益還元は必要ない・・・が

中古の本やDVDなどを扱っているアーカムさんが、古本の利益の一部を作家に還元する仕組みを作ろうとされているようです。面白い試みではありますが、反面疑問も感じるので、思いついたことをつらつらと書いてみます。古本関係って、私のように(本の寿命が短い)IT系専門書しか書かない人間にとってはそれほど深刻な問題でもないのですが・・・。

販売額の1%程度と言うことでmohno氏が、作家に200万円還元するためには、コミックス1冊200円として、売上げ2億、100万部の販売が必要という試算をされています。個人的には金額の多寡はさほど重要じゃない*1とは思うのですが、こういう試算を見ると実効性についても疑問が持たれるところです。

ユーザからの還元については、投げ銭方式を採用するという考えもあるようですが、実際にpixivなどで投げ銭をしていると(試しにと言うことで88ユーザーに対して投げ銭を行ってみました)、私のようなROMは、正直相当意識していないと投げ銭し忘れちゃったりします。少なくとも利益還元の仕組みとしてはあまり筋の良い手法ではないでしょう。

投げ銭にするくらいなら、アーカムさんで得られたポイントを、新刊扱っている店でニコニ広告の要領(XXXポイントで平積みになって、YYYポイントなら紹介用の立て札が立つとか)で盛り上げられるとかそういう仕組みに利用できるようにするという手もあります。地元の本屋に立ち寄って自分の本が平積みになっているのを発見すると、かなりうれしいですからね。

そもそも、多くの人が指摘しているとおり、法律的にも道義的にも古本の売買をしたからといって作家に利益還元する必要はないわけです。おかしげな人たちが割り込んできて、利益還元しなくてはならないから法律改正とか変な方向に進まないと良いのですが。。。

長期的には役立てる方法はあるはず

とはいえ、この取り組みを評価していないのかというと、そうでもありません。

私は、将来的にはユーザーに対してコンテンツを利用する権利を売るようになると考えています。PCで電子書籍を買ったら携帯電話でも電子ブックリーダーでも読めるというような感じです。悩ましいのは、紙の本はそうそうなくならないと思われることです。と言うか、出版の中でかなり大きな割合を占め続けるのではないだろうか。

利便性を考えれば、本を購入するとコンテンツを利用できる権利(とデータをダウンロードする権利)もついてくるとありがたいのですが、データをダウンロードして複製した後に古本として売るような場合どうするかという問題が残ります。

(この種の問題は本よりもDVDやCDの方が深刻だと思いますが。。。)

アーカムさんのような取り組みによって古本の流通がある程度把握できるようになって、1%では話になりませんが相応の利益還元がされるのなら、古本であるかどうかに関わらず本を買ったことがある人にはコンテンツを利用する権利を持てますというような話でもOKなんじゃなかろうかとも思うわけです。コンテンツ税みたいな話になりますけど。

実際にコンテンツを利用する権利を売るようになるかどうかはともかく、アーカムさんの取り組みは進め方によっては後々効いてくるんじゃないかとか思ったりするわけです。その意味ではがんばって欲しいと考えています。

*1:といっても、”寸志”というものはもらえる金額の割に処理が面倒くさいという理由で受け取りたがらない人もいて、代わりに飲みに連れて行っておごって済ませるなんてこともあったりはするのですが。。。