平凡なエンジニアの独り言 はてなブログ出張所

ピアノをこよなく愛するエセRubyistが適当に書き綴ります

軍師山本勘助・・・ではなく、軍師切込隊長、MIAU に助言する

MIAUは何故、失敗したのかを読みました。書いてあることは、少々乱暴に要約させてもらうと「MIAU はもっと知恵を使え」という話で、まったくその通りだと思います。

賛成者は、一部のIT系新興企業と一部の開明的な音楽業界・芸能事務所関係者と肝心のネットユーザーや学者ぐらいしか当初はいなかったのだから、まあ仕方がない。ただ、負け戦から組織は多くのことを学ぶのであるから、MIAUは負けて遠吠えするのではなく、負けて総括するべきだと個人的には思う。

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2007/12/miau_f277.html

その通りだと思います。まだ国会は残っていますが、パブコメが終わった後に文化庁のああした発言を引き出してしまった時点で、一つの戦には負けたと認識して、負けた理由を分析すること自体は間違いではありません。本当の戦いはもっと先にあるわけですから。(なんというか、権利者を dis るところからどこかで交渉に入らないといけないんですよね。。。今回は時間切れでそれができなかったのも事実。)

切込隊長の分析は「そんなすげーこと要求されてもすぐには無理!」といいたくなるところはありますが(だからハードルが高いと書かれているわけですけど)、総じて「そのとおり」と言えるため、私が付け加えられるようなことはありません。強いて言うと、MIAU は持っているその結論がそれほど極端ではないと思われる*1のに、権利者と対決状態になっているのはあまり賢くないかもしれません。ネットユーザーにも穏健派と急進派みたいな感じで団体があるといいのかな。

あと一つ、MIAU の活動を評価して欲しいところがあると感じました。

MIAU の活動によってネットユーザーの著作権法に対する理解は相当進んだのではないでしょうか。私は今回のパブコメを出すにあたって、著作権法を全体をざっと見て、30 条は割とちゃんと読みました。(理解はあやふやなところがたくさん残っているんですけどね。)法律の条文をまともに読むなんて、これまでやったことないことでしたし、そもそも、ネットからコンテンツをダウンロードする行為が、30 条が根拠となっていることも知りませんでした。長い目で見れば、MIAU のこうした活動はネットユーザーのマナーというか意識を向上させていくでしょう。

ダウンロード違法化に限って言えば、権利者側も相当慎重な進め方をしており、今回の法改正で一気に世の中が住みにくくなるということはないと思います。問題なのは、もっと長い目で見た時の権利者団体と文化庁が持っているビジョンであり、MIAU はそのビジョンとネットユーザーの利益との狭間でつばぜり合いをし続けていくことになると思います。

それを考えれば、切込隊長の助言はとても有意義なものですね。

一点、気になった所を指摘します。細かい話ですけどね。

そういうのを取り締まるのに、いちいち権利者の側が見つけ出し、訴訟を起こし、吊るし上げて賠償金を取るというのは、果たしてフェアなのか、という議論である。

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2007/12/miau_f277.html

誤解を与える表現になると感じました。文脈からは、「権利を強化したくなる権利者の心理を読んで交渉しろよ」という話と理解していますが、著作権は親告罪ですから、権利者が駆けずり回っていわゆるうp主を告発しなくてはならないのは致し方のないことでしょう。著作権法の非親告罪化はまだ議論の途上です。私は非親告罪化は、通せば MIAU の敗北条件になるのではと考えていますが。

とはいえ、フリーライダーの存在がフェアでないという意見は賛成です。

*1:極端というのは、たとえば、私のようにニコニコ動画を認めてしまえというようなたぐいの、財産権だけでなく人格権にも踏み込むような結論を持っているような感じでしょうか。