平凡なエンジニアの独り言 はてなブログ出張所

ピアノをこよなく愛するエセRubyistが適当に書き綴ります

ネットユーザにとって必要な法制度とは何か?

昨日の記事で、ニコニコ動画と著作権について触れました。はてブのコメントで著作権法に関する「二階建て制度」について触れていれば合格という意見がありました。私はオープンソースクリエイティブコモンズの方へ話を伸ばそうとしていた*1のですが、この指摘を受けてもう少し真面目な方向に話を進めることにします。

まずはMiAU の中の人(真紀奈17歳さん)が提唱したという著作権法の「デジタルコンテンツに関する二階建て制度」について説明します。以下のような特徴があります。

  • すべての著作が対象ではなく、デジタルコンテンツに対象を絞る(デジタルコンテンツに関する特別法である←であるがゆえに二階建て)
  • 登録制度を設けて、登録したものを対象とする
  • 登録したコンテンツは一定の手続きを経ることで、利用することができる(派生創作物について考慮されている)
  • 不正利用を防ぐ(むしろ厳罰化が進む)

運用としては、デジタルコンテンツの JASRAC のようなものを作って、著作を利用するときはお金さえ払えば OK という状況を作るということです。登録されていないコンテンツ(デジタルコンテンツ)をどうするかで割れていて、「通常の著作権法に従う」「パブリックドメイン扱いにする」というような考え方があります。*2

プロの著作者にとっては、著作の利用時の手間が省けるので、ありがたい仕組みだと思います。ニコニコ動画を利用している人にとっても、ニコニコ動画JASRAC のやり取りのようにニコニコ動画が難しい問題を解決してくれるでしょうから、権利問題に悩まずに動画をアップロードすることができます。著作権法の次の一歩という意味では大きな期待がもたれています。

この制度の問題点は、JASRAC 的な組織がどれくらい透明度を保てるか*3です。そして、ユーザー生成コンテンツから見れば、ニコニコ動画のような共有スペースがどれくらい透明度を保てるかです。つまり、どれくらい「Don't be evil.*4」を唱えていられるかです。

で、JASRAC の透明度を保つ方法としては、著作のデータベースと集金を別の組織に分ける方法*5が提案されています。ニコニコの方は・・・まぁ、競争相手が居ればいいのでしょう。

さて、二階建て法制ができあがれば、ニコニコ動画を取り巻く問題も、ネットを取り巻く問題もかなり改善されそうです。

もちろん、本件に関する MiAU の公式見解はまだ不明ですし、よくよく読めばこの制度に関する考え方もまだまだ突っ込みどころはあるでしょう。私もまだ完全には理解していませんが、細かいところでは賛成しかねているところ*6があります。とはいえ、ニコニコ動画のユーザーの著作権に対する要求というものは、求めるゴールが同じかどうかはともかくとして*7MiAU などの問題意識と重なっていることは間違いないと思います。

いずれにせよ、今は制度がない以上、ニコニコ動画は自力でこうした問題を解決する必要があります。グレーゾーンはたくさん残るでしょうが、たぶん解決するでしょう。その結果権利者が儲かるのなら、こうした法律改正や制度を整える強いモチベーションが生まれると思います。私は、著作権に求める制度はどういうものかを考えつつ*8ニコニコ動画のビジネスの行方を注目していきたいと考えています。

二階建て制度を「正確」に理解したい人は、こちらの記事こちらの記事を参照してください。前者の記事はちょっと古いので、後者の記事をお勧めしますが、目的は前者の方が読み取りやすいです。

*1:実現性の低い夢物語になり、与太エントリになること請け合いですが。。。

*2:ここは重要な争点になっていくことでしょう。

*3:その他にも、デジタルコンテンツとは何か、使用料はどれくらいにすればいいのかなどなど、問題は山積みですが。

*4:邪悪になるな。Google のモットー。

*5:集金業者には競争の原理が働く。データベースには著作に関する情報と管理する会社(集金する会社)に関する情報が載っていて、著作物を利用する人が問い合わせる先が分かる。

*6:保護期間に関する考え方とユーザー生成コンテンツについてなのですが、まだ頭の中がはっきりしていません。。。

*7:そもそも、私に至っては、ゴールがどこにあるのか考えることさえできていません。

*8:パブコメのような機会があれば、行動を起こしつつ。